2022.12.28 最終更新日: 2023.07.25
コロナ禍により、以前よりもパソコンやスマホを使用する時間が増えたという方も多いのではないでしょうか。特にスマホは「生活必需品」とも言え、総務省の『令和3年通信利用動向調査の結果』によると、「携帯電話やスマホなどの情報通信機器の世帯保有率が9割を超えており、その中でも、スマホの普及は8割以上の世帯で保有」と報告されています。
SNSや動画視聴、スケジュール管理など、スマホ1つですべて行えるためとても便利になった一方、長時間の使用による視力の低下、首の痛みといった身体の不調を訴える方も増えています。
今回は、その中でも「スマホを操作する時に小指が痛い」「親指の関節がズキズキする」など、スマホの重みに負けてしまい、指を傷めてしまう「スマホ指」についてお伝えします。
スマホ指は、長時間のスマホ操作・使用で手首や指が痛くなる、変形するなど「スマホに関連する指の障害」のことを指します。
スマホの用途は電話以外にも、
・メールやメッセージを打つ
・SNSで写真を投稿し、文章を書く
・動画を見る、編集する
・ゲームをする
・仕事でスライドや文章を作成する
などがあります。
スマホの種類にもよりますが、重さは平均150g~200gほど。スマホのサイズもさまざまで、年々スマホの画面が大きくなり、人によってはスマホを重く感じることがあります。
そのような背景がある中で、「スマホを持つと痛い」「操作する指が痛い」と訴える方が多く、その場合は、スマホ指を引き起こしている可能性があります。
皆さんは普段、どのようにスマホを持っていますか?「両手持ち」「片手持ち」の大きく2つのタイプに分けられるのではないでしょうか。
1 両手でスマホを抱えるように持ち、両親指で操作をする。もしくは片方の指で操作する。
2 片方の手の小指でスマホを支えて持ち、同じ手の親指で操作する。
1の場合は、スマホの重さは分散され、操作する親指も可動性がとても優れている関節であるため、痛みを引き起こすことは少ないですが、手首を曲げた状態で親指の操作を行うと親指や手首に負担がかかり、痛みが出ます。また、両手でスマホを持つ時間が長くなると、手首や親指側に負担がかかり、痛みが出現することもあります。
2の場合は、小指でスマホを支えることになり、重さは小指に集中します。そのため、片手持ちの方は、小指の変形や痛みが出たり、手首を曲げた状態で親指の操作を行うと痛みが出現したりします。また、スマホを横持ちする際、①と同様で、小指だけでなく手首や親指にも負担がかかります。
手首(親指の付け根部分)の腱鞘炎(けんしょうえん)をドケルバン病と言います。手首(親指の付け根部分)には、短母指伸筋腱(たんぼししんきんけん)と長母指外転筋腱(ちょうぼしがいてんきんけん)の2本がトンネル状の腱鞘(けんしょう)を通っています。手首や親指に負担をかけすぎると腱鞘に擦れや炎症を起こし、腱鞘は厚くなります。そのため動かす度に腱と腱鞘が擦れ、手首を動かすと痛みが生じます。また、悪化すると手に力が入りにくくなります。
スマホを使用する際、手首を曲げた状態で指を動かします。この「手首を曲げながら親指を動かす」という動作が、手首の腱鞘に負担をかける原因です。
その他、スポーツや仕事などで、手指を酷使されている方、加齢(筋肉の柔軟性低下)やホルモンバランスの乱れ(更年期、妊娠出産期の女性に多い)なども原因になり得ます。
・フィンケルシュタインテスト変法
片方の手を使います。親指を内側に入れて、握りこぶしを作って、小指側に傾けます。痛みが増したら「ドケルバン病」が疑われます。
ばね指は、主に指や中指のMP関節で起こる腱鞘炎の一種です。
手には指を曲げたり、伸ばしたりする筋肉が腱として存在します。腱が浮き出ないように靭帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)と呼ばれるもので固定されており、構造はベルトとベルト通しの関係によく似ています。
指を過剰に使い続けると、関節の腱鞘に擦れや炎症を起こし、腱鞘は厚くなります。さらに進行するとスムーズに腱が腱鞘を通らなくなり、引っかかります。指の付け根に触ると痛みが走ったり、指を曲げ伸ばしたりすると、引っかかることがあります。
指関節の関節可動域を超えるような動かし方をする、スマホの長時間使用で指を酷使することなどが主な原因です。
その他、スポーツ・仕事などで手指の酷使されている方、加齢(筋肉の柔軟性低下)やホルモンバランスの乱れ(更年期、妊娠出産期の女性に多い)なども原因となります。
指を酷使することによって関節に負担がかかり、炎症を引き起こします。炎症が繰り返されると関節を包んでいる袋状の被膜である「関節包」は、繊維化(組織が線維成分に置き換わり、硬くなること)することで、痛みを感じやすくなります。痛みによって動かしにくさや関節可動域制限を引き起こし、筋力の低下が起こります。最終的は関節の変形が起き、関節をスムーズに動かすことが困難になります。また、スマホを操作する際に小指が痛い場合は、変形性関節症の可能性もあります。
長時間のスマホ操作など、指関節の使いすぎが主な原因ですが、その他にも加齢・スポーツでの指の酷使・事故による外傷などが原因となることもあります。
「少し指が痛いかな」といった軽い症状でも、早期に整形外科などの医療機関を受診することで悪化を防ぐことができます。少しでも症状があったら、できるだけ早い段階で整形外科などの医療機関を受診しましょう。
両手で持つことでスマホの重さが一点に集中しないため、指への負担が軽減されます。
片方の手のひらにスマホを抱えることで、小指への負担は軽減されます。親指の膨らみの部分(母指球)で支えると、小指に負担がかかりません。
大事なのは「小指でスマホを支えない」「手首を曲げすぎない」ことです。小指は他の指よりも細く、変形しやすいため注意しましょう。また、スマホを横向きで操作する際は、手首を曲げたり、捻ったりして、指だけで支えてしまうことがあります。その場合も、小指と手首に負担がかかるため、できるだけ手首と腕をまっすぐにして、曲げたり、捻ったりしないように心がけてください。
指に違和感がある場合や、指に違和感がない場合でも、普段から手首や指のストレッチを実践して予防する必要があります。
スマホを使用していると、自然に首は下を向き、身体は丸くなり、肘を曲げて操作している方も多いのではないでしょうか。「手や指が疲れたな」と感じたら、ストレッチやマッサージを行いましょう。今回は座ってできる簡単なストレッチ方法をご紹介します。
1 椅子に座って、左肘を伸ばした状態で腕を上げ、指先を下に向ける
2 左手の人差し指に、右手の人差し指と中指を添える
3 人差し指を10秒~15秒ほど伸ばし、他の指も順番に伸ばす
4 反対の指も同様に行う
1 椅子に座って、右肘を伸ばした状態で腕を上げ、指先は上に向ける
2 右手の親指の付け根を左手の親指で押し、その他の指で右手の親指を握る
3 左手で、右手の親指を手前に引っ張り、15秒キープする
4 反対の手の親指も同様に行う
スマホ指は「現代病」ともいえる病気です。できるだけ長時間のスマホ利用を避け、指や手首を中心に身体を休ませることが大切です。スマホを長時間操作してしまった、手や指を酷使してしまった、といった場合は、指や手首のストレッチを行い、日々のケアを怠らないよう心がけましょう。
シグマックス・MEDIAID事務局
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確かな実績を持つ
日本シグマックスの
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※MEDIAIDは日本シグマックスのブランドです。
※1:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2023年度メーカー出荷額ベース
※2:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2020~2023年度メーカー出荷枚数ベース