『腱鞘炎』の治し方とは?原因と症状、腱鞘炎を予防するストレッチ方法

2022.12.20 最終更新日: 2024.10.25

家事をしている時、パソコン・スマホを使用している時に、指の付け根や手首が痛むことはありませんか?もしかすると、その痛みの原因は「腱鞘炎(けんしょうえん)」かもしれません。今回は、腱鞘炎の原因や症状、予防の方法をご紹介します。

腱鞘炎とは

腱鞘炎とは、指にある腱鞘(けんしょう)と呼ばれる部分に炎症が起きた状態です。各指についている腱(けん)の働きによって、指は曲げ伸ばしをすることができます。腱の通り道をトンネルのように所々で覆っているのが腱鞘です。
手を酷使すると、腱と腱鞘の間で繰り返し摩擦が生じます。その結果、炎症が生じてしまい、痛みや腫れを伴う腱鞘炎を起こします。代表的な腱鞘炎として「ばね指」、「ドケルバン病」があります。

● ばね指(弾発指・屈筋腱腱鞘炎)

ばね指は、指の付け根に当たる関節(MP関節)周辺で起こる腱鞘炎の一種です。指を曲げる腱である屈筋腱(くっきんけん)の腱鞘炎で、手のひら側で症状が起こります。また、腱鞘炎により腱鞘が厚くなってしまうため、腱が通る道が狭くなります。そのため、指は曲げ伸ばしをすることが難しくなります。
症状が進むと、腱が腱鞘に引っかかるようになり、無理に動かそうとすると、引っかかっていた部分が一気に外れてしまい、バネのように勢いよく指が動いてしまいます。
このような症状は指の上から2番目の関節(PIP関節)でよくみられ、弾発現象(だんぱつげんしょう)と呼びます。動きの特徴から「ばね指」と言う名前が付けられています。

● ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)

手首の親指側の端には、親指を広げる時に働く2本の腱が通ります。これらの腱は手首の甲側にある腱鞘の中を通過します。この部分の腱鞘が炎症を起こしてしまった状態がドケルバン病です。狭窄性腱鞘炎(きょうさくせいけんしょうえん)とも呼ばれます。
ばね指同様、炎症により腱鞘が厚くなってしまい、腱の通り道を狭くしてしまうことで、腱が動きにくくなります。親指の付け根から手首に近い部分に症状が現れます。

腱鞘炎の原因と症状

● 腱鞘炎の原因

腱鞘炎の原因として最も多いのが、指や手首を酷使することです。そのため、前項でご紹介したような動きを繰り返す場合に症状が現れます。また、更年期の女性、妊娠や出産期の女性にも多く、女性ホルモンの関与が考えられます。ばね指は、糖尿病やリウマチ、透析をしている場合にもよく発生します。

● 腱鞘炎になりやすい動き

腱鞘炎が起こる一番の原因は「指や手首を酷使すること」だと先に述べましたが、具体的に腱鞘炎になりやすい動きをご紹介します。

・スマホを片手で操作する

・長時間のパソコン作業、ゲームを長時間プレイする

・ゴルフやテニスなど、手首をよく使うスポーツをする

・ピアノなど、指を頻繁に使う楽器の演奏をする

・重いフライパンを頻繁に使う

上記のように、腱鞘炎は仕事や趣味などで指・手首を酷使する場合に多く起こります。

● 腱鞘炎の症状

炎症部分の痛みや腫れが主な症状です。また、ばね指では弾発現象がみられ、PIP関節を曲げたあと、なかなか伸びなくなり、無理に伸ばそうとすると弾かれたように急に伸びます。
特に親指や中指で多くみられます。ドケルバン病では痛みや腫れの症状が親指の付け根から手首にかけて起こります。
腱鞘炎による痛みや指の引っかかりで、指や手首の関節の動きが制限され続けると、関節が固まる場合もあります。

腱鞘炎のチェック方法

● 腱鞘炎のチェック方法

炎症が生じている部分の痛みや腫れがあるかどうかを確認します。痛みは患部を抑えたり、動かしたりする場合に発生するかどうかも確認します。ばね指では指の付け根、ドケルバン病では親指の付け根から手首にかけて炎症が起こるため、それぞれで判別することも重要です。ばね指であれば、指を動かした時に引っかかりや弾発現象の有無を確認します。

ドケルバン病では、以下のような検査で確認することもできます。

フィンケルシュタインテスト変法

親指を中に入れて手を握ります。小指側に手首を曲げた時に痛みが出るかどうかを確認します。痛みが発生したら「ドケルバン病」の可能性があります。

● 病院に行く目安

腱鞘炎の状態で指や手首を無理に使い続けると、ますます腱鞘が厚くなり、症状の悪化につながります。また、炎症が長期化してしまい、関節の拘縮などにつながると改善が困難になります。
そのため、痛みや腫れ、指の引っかかりといった症状が現れた場合は、早めに整形外科などの医療機関を受診してください。

腱鞘炎の予防方法

● 生活を改善する

スマホやパソコンを長時間使用しない、スポーツで無理をしないなど、腱鞘炎の原因となるような生活習慣を改めることが大切です。症状のある場合は安静が必要なので、特に意識して指や手首に負担がかかる動作をしないようにしてください。

● サポーターを取り入れる

安静にしようと思っても、指や手首は普段の生活をする上で動かさなければいけない部分です。そのような時に活躍するのがサポーターです。指や手首の関節を覆うようなサポーターは、関節を固定して可動域を抑制し、動かす際にかかる負担を軽減してくれるので、状況に合わせて活用しましょう。

● ばね指の予防方法

手指の屈筋腱をストレッチして、腱周辺の動きをなめらかにしたり、腱が通る道を広げたりすることが大切です。自宅で簡単にできるストレッチの方法をご紹介します。

ストレッチは約1~2カ月続けると、効果を実感できることが多いとされています。無理のない範囲で、毎日続けましょう。

ばね指のストレッチ1

1. 手のひらを下にした状態で、手首を手の甲側に軽く反らす(指先が天井を向く程度)

2. 人差し指をまっすぐに伸ばす

3. 反対側の手で、人差し指の付け根をゆっくり反らす

4. 指の手のひら側が伸ばされるのを感じるまで反らした状態で30 秒キープする

5. 中指や薬指、小指も同様に行う

手に力を入れずに、リラックスした状態でゆっくり反らすのがポイントです。反動や勢いをつけると、腱を痛める可能性があるので注意しましょう。

ばね指のストレッチ2

指の付け根を腱が通る部分にはA1プーリーと呼ばれる腱鞘があります。A1プーリーが硬くなると、腱の通り道が狭くなり腱鞘炎につながるとされています。ここでは、親指の腱の通り道を広げるためのストレッチをご紹介します。無理のない範囲で行いましょう。

1. 右手首を手の甲側に軽く反らす

2. 右親指の付け根をできる限り曲げる

3. 左親指と左人差し指で、右親指の指先を持つ

4. 右親指を伸ばすように、左親指と左人差し指に力を加える

5. 右親指は曲げる方に力を入れて、抵抗に負けないよう30秒押し合う

6. 5を5~10回繰り返す

ばね指のストレッチ3

1. リモコンや小箱などのブロック状のものを用意する

2. 手首を手の甲側に軽く反らす

3. 親指の付け根と、人差し指から小指の指の腹でブロック状のものを挟む(人差し指から小指は、指先に近い関節を伸ばすように挟む)

4. ブロック状のものを握るように30秒力を入れる

5. 4を5〜10回繰り返す

指で挟むブロック状のもが大きすぎると、指の関節が正しい角度に保てません。リモコン程度の幅のものが適当です。こちらのストレッチも、無理のない範囲で行いましょう。

● ドケルバン病の予防方法

ドケルバン病を予防するには親指を使いすぎないようにする必要があります。親指の付け根に違和感のある方は、親指を使う頻度を少なくしたり、普段からサポーターを着用したりして、動きすぎを防ぎましょう。

まとめ

最近では、どの世代でもスマホやパソコンを頻繁に使用するため、誰にでも腱鞘炎になる可能性はあります。「指や手首を使いすぎた痛みだから…」と言って、痛みを我慢すると症状の悪化につながります。できるだけ指の腱に負担のかけない生活を心がけながら、適宜サポーターを着用したり、ストレッチを取り入れたりして腱にかかる負担を減らしましょう。また、腱鞘炎は症状の出る部分が異なりますので、症状がある場合は早めに医師の診察を受けましょう。

発信者

シグマックス・MEDIAID事務局

シグマックス社員が仕事の中で得た知識から、知っておくと嬉しい・役立つ情報を、生活者の視点から発信しています。

MEDIAID(メディエイド)は整形外科で
確かな実績を持つ
日本シグマックスの
サポーター専業ブランドです。

日本シグマックス 医療をベースにした確かな実績。医療機関向け関節サポーター出荷額1位。腰サポーター出荷枚数2年連続1位 ※MEDIAIDは日本シグマックスのブランドです。
※1:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2023年度メーカー出荷額ベース
※2:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2020~2023年度メーカー出荷枚数ベース

公式オンラインショップTOPへ
一覧へ戻る
オンラインショップはこちら