2022.12.15 最終更新日: 2023.07.25
「足の付け根が痛い」「お尻の痛みが気になる」など、何か違和感があると思いながらも、はっきりとした原因がわからず、そのままにしている方も多いのではないでしょうか。ここでは、足の付け根やお尻の痛みを引き起こす原因となる疾患やケガなど、痛みを悪化させない方法を解説します。
足の付け根やお尻の痛みを引き起こす部分は1つではありません。腰椎(ようつい)、仙腸関節(せんちょうかんせつ)、股関節(こかんせつ)といったいくつかの関節の影響が考えられます。痛みの原因や対策への理解を深めるために、各関節のしくみを解説します。
背骨は24個のブロックのような骨が積み重なってできています。その腰の部分にあたる下から5つの骨を腰椎と呼びます。腰椎と腰椎の間には椎間板(ついかんばん)が挟まっていて、椎間板はやわらかいクッションのような役割があり、腰にかかる負担を分散させたり、腰の動きをスムーズにしたりする機能を持っています。
腰椎同士は椎間関節(ついかんかんせつ)と呼ばれる関節で連結しているため、腰の曲げ伸ばしや腰をひねる動作のときに、腰椎が連動して動きます。さらに、腰椎で作られる管の中には脊髄(せきずい)と呼ばれる神経が通っており、そこから枝分かれして足を動かすために筋肉の動きをコントロールしています。
また、脊髄は腰椎の上の方で終わり、枝分かれした神経は束になってより下方に伸びていきます。この神経の束は「馬尾神経(ばびしんけい)」と呼ばれます。
以上のように、腰椎は椎間板や椎間関節などの働きにより、身体の重みを支えたり、足腰を動かしたりする役割を果たします。
仙腸関節は骨盤にある関節で、腰椎のさらに下にある仙骨(せんこつ)と呼ばれる骨につながっています。仙骨の両側には腸骨(ちょうこつ)と呼ばれる骨があり、私たちが両手で腰に手を当てるポーズをしたときに触れる左右の骨が腸骨です。仙腸関節はこの仙骨と腸骨が連結している部分のことを言います。
仙腸関節は関節といってもほとんど動きのない関節で、上半身の重さを支えたり、地面からの衝撃を吸収したりと身体を安定させる役割を担っています。
※イラストは左股関節です
股関節は、骨盤の一部である寛骨(かんこつ)と太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)から構成されており、足の付け根の関節になります。
人体の中で最大の関節で、体重を支える役割を持ちつつも、色々な方向に動かすことができ、二足歩行の人間が立ったり、歩いたりするために大きな役割を果たしています。
重いものを持ったり、腰を動かすような動作を続けたりすると椎間板や椎間関節に負担がかかり、痛みが生じます。
椎間板に繰り返し負担がかかると、椎間板が変形してしまい、脊髄を圧迫します。椎間関節が炎症を起こしたり、変形を生じたりすることで、神経を圧迫することにもつながります。神経は足のさまざまな場所に枝分かれしているので、足の付け根やお尻など色々な場所に痛みが生じます。
仙腸関節は腰から伸びる神経が幅広く関連しており、繰り返し負担がかかる関節に炎症が生じることで痛みを引き起こします。本来は動きの少ない関節ですが、出産により仙腸関節を支える靱帯(じんたい)が緩んでしまうことで、関節が不安定になってしまい、痛みを引き起こすこともあります。
加齢や繰り返しかかる負担により関節の変形が生じたり、周辺の筋肉がこわばり神経を圧迫したりすることで痛みが生じます。
足の付け根やお尻が痛い場合に考えられる代表的な病気を解説します。
椎間板の中にある髄核(ずいかく)が飛び出てしまい背中の神経を圧迫する疾患です。
腰痛や片側のお尻から、足に広がる痛みやしびれがみられます。また、足の力が入りにくくなったり、排泄障害が起こったりすることがあります。
スポーツや悪い姿勢での動作・作業、加齢、喫煙などで繰り返し椎間板に負担がかかることが主な原因です。
さまざまな原因で背骨にある神経の通り道である脊柱管(せきちゅうかん)が狭くなり、神経を圧迫することで障害が起こる疾患です。
お尻から足に広がるしびれや痛み、脱力がみられます。歩くと痛みやしびれが強まって歩けなくなり、前かがみになって休むと元に戻って歩けるようになるという間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼ばれる症状が特徴的です。重症の場合は排泄障害が起こります。
加齢、長時間の労働、背骨の変形により神経の通り道である脊柱管が狭くなってしまうことが主な原因です。
片側の腰の少し下にある仙腸関節部分に痛みが生じます。仙腸関節の障害でも、お尻や足のつけ根の痛みも多く、太ももから下にも痛みがみられる場合もあります。
中腰の姿勢での作業や出産、事故といった外傷、仙腸関節の変形などにより仙腸関節に生じた炎症が痛みを引き起こす原因となります。
腰から足に伸びている坐骨神経がどこかの部位で圧迫などの刺激を受けることで、お尻から足に痛みやしびれを引き起こす状態です。
お尻や足に広がる痛みが特徴です。指先まで痛みが広がる場合もあります。
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が主な原因です。その他、お尻の筋肉の1つである梨状筋(りじょうきん)により圧迫されて起こる梨状筋症候群が原因の場合もあります。
加齢などにより股関節が変形する病気です。もともとあった股関節の異常が原因で変形が進行し、症状が出現します。
足の付け根などにみられる痛みや関節の動きの制限、歩行の異常といった症状がみられます。歩行は筋力の低下や痛みに加え、関節の変形により足の長さが短くなることもあります。この場合は、横に傾くような歩き方になります。
加齢や肥満のほか、重いものを繰り返し抱えることが原因となりますが、生まれつき大腿骨に対して骨盤の被りが浅い方(大腿骨がはまり込む凹みの部分の面積が小さく、大腿骨をしっかり包み込むことができない)に発症する場合がほとんどです。
前かがみの姿勢を続けたり、腰を曲げてものを持ち上げたりといった椎間板に負担のかかる動きは避けましょう。ものを持ち上げるときは、できるだけ近づいて膝を曲げて持ち上げるようにします。また、股関節の動きが固くなると、腰椎が過剰に動いてしまうので、股関節のストレッチも大切です。仰向けになって、片方の膝を抱えるようにして股関節がしっかりと曲がるようにストレッチをします。さらに、おなかや背中の筋肉を鍛えて腰への負担を減らすことも大切です。
①仰向けに寝て、両膝を立てる
②深呼吸をしながら息を吐くタイミングに合わせて、お腹をできるだけ凹ませる
③息を吸うタイミングに合わせて、お腹を元に戻す
慣れてきたら、座った状態や立って作業するときにもお腹を引き締める意識を持ち普段から腰にかかる負担を減らすようにしましょう。また、腰回り全体を安定させるために次のような運動もおすすめです。
①うつ伏せになって両腕とつま先で身体を支える
②お腹を凹ませた状態でまっすぐな姿勢をキープする
このような運動も、腰椎を支える筋肉を鍛えることができます。
腰椎椎間板ヘルニアと同様に、腹筋や腰を支える筋肉を鍛える運動は重要です。腰椎椎間板ヘルニアとは逆で、身体を反らせると狭くなった神経の通り道をさらに狭くしてしまうので注意が必要です。そのため、ストレッチは背中の筋肉を伸ばしましょう。
①仰向けになって両膝を立てる
②両手で両膝を抱え、胸に近づけるようにする
③腰がまるくなるまでゆっくり抱え、15〜30秒キープする
仙腸関節障害の場合も、ここまでに記載した腰回りの筋肉を鍛えるストレッチやトレーニングを行って、仙腸関節にかかる負担を減らしましょう。
坐骨神経痛の場合でも、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が原因の場合はそれに応じた対策をしましょう。また、坐骨神経の通り道にある梨状筋のストレッチもおすすめです。
①仰向けに寝て、両方の膝を立てる
②ストレッチする方の足を、あぐらをかくようにして反対側のふとももにのせる
③両手で膝を立てている足を抱え、胸に引き付ける
④お尻が伸ばされているのを感じながら15〜30秒キープする
股関節の筋肉を鍛えて、関節にかかる負担を軽減するようにしましょう。
①仰向けに寝て、両膝を立ててお尻をゆっくり持ち上げる
②お尻に力が入っているのを意識して10秒キープする
③勢いをつけないように気をつけながら、お尻をゆっくりおろす
股関節にかかる負担を減らすために、屋外では杖を使ったり、お店ではショッピングカートを使用したりしましょう。水中でのウォーキングも関節の負担が少ないためおすすめです。
足の付け根やお尻が痛い場合は、痛い場所の病気とは限らず、腰やお尻、足の付け根の股関節といったさまざまな部分の病気の可能性が考えられます。そのため、原因をしっかり把握した上で、対策を行うことが重要です。痛みが気になる場合は、まずは整形外科などの医療機関を受診して、痛みの原因の特定を行いましょう。
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シグマックス・MEDIAID事務局
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※MEDIAIDは日本シグマックスのブランドです。
※1:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2023年度メーカー出荷額ベース
※2:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2020~2023年度メーカー出荷枚数ベース