腰痛は、多くの方が経験し、治し方に悩まれています。有効な対策としてはストレッチや筋トレ、姿勢改善が挙げられます。今回の記事では主に姿勢改善に着目し解説します。
腰痛は病名ではなく症状の1つです。そのため、改善するためには、まず何の病気が原因となっているのかを特定する必要があります。腰痛の原因となっている病気にはさまざまなものがあり、原因が分かるものと、分からないものがあります。そこで、まずは腰痛を起こす病気について解説します。
腰痛で医師の診察を受けると、症状を確認した上で、さまざまな検査を受けることになります。原因の分かる腰痛として以下の病気があります。
● 腰の骨や関節の異常によるもの
例:腰部脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニア・腰椎の骨折
● 腰を通過する神経によるもの
例:脊髄の腫瘍
● 腰周囲にある臓器によるもの
例:腎結石、尿路結石、子宮内膜症
● 腰周囲にある血管によるもの
例:腹部大動脈瘤、解離性大動脈瘤
一方で、現在の検査技術を用いても、原因が特定できないことがあります。また原因と診断された場所を治療した後でも腰痛が残ることがあり、このような腰痛を非特異的腰痛と呼びます。原因としては以下のものが考えられています。
● 血流の減少
● 筋力の低下・こわばり
● 心理的ストレス
● 腰に負担のかかる生活習慣
医師の診断によっても原因が特定できない腰痛(非特異的腰痛)に対する治療目標は、痛みの軽減と機能の改善です。すなわち、筋肉の凝りをほぐし、姿勢を改善し、痛みの軽減を目指します。習慣化した不適切な体の機能は自分自身で対策をすることで改善できる場合があります。以下の3つの対策は、自宅で簡単に行えるのでおすすめです。
● ストレッチ、体操
ストレッチは筋肉を伸ばすことで、筋肉のこわばりを減らし、血流を良くする効果があります。またストレッチはリラクゼーションにも効果的です。したがってストレッチは原因の分からない腰痛への効果が期待できます。
● 筋トレ、体幹トレーニング
慢性的な腰痛に対して、筋力強化が効果的であることが知られています。特に腹筋や背筋といった体幹の筋力トレーニングは、腰を支える筋力を強化できるため、腰椎への負担軽減が期待できます。
● 姿勢改善
姿勢を改善することは、腰痛の軽減や予防につながります。なぜなら悪い姿勢は腰に過剰な負担をかけるからです。さらに悪い姿勢は気づかないうちに、習慣化している可能性があります。したがって自分の姿勢をチェックし、修正することで腰痛の予防効果が期待できます。
では、正しい姿勢とはどのようなものなのでしょうか。はじめに腰痛の原因と考えられる「悪い姿勢」について解説します。
悪い姿勢のポイントは「偏った姿勢」です。ここでいう偏った姿勢とは、正しい姿勢に比べて体の位置が前後・左右にずれている、もしくはねじれた状態になっています。そして偏った姿勢は、一部の筋肉や骨に過剰な負担がかかります。もし腰への負担が大きい姿勢が習慣になっていると、腰痛を起こす可能性が高くなります。次に腰痛を引き起こす可能性がある悪い姿勢をご紹介します。
● 猫背
猫背は腰痛の原因になる姿勢です。猫背は頭が前に出てくるため、頭の重みを支えるために背中から腰の筋肉に大きな負担がかかります。スマホやパソコンの利用が多い方は画面に顔を近づけて前のめりになりやすいため要注意です。
● 脚を組んで座る
長時間座っていると、脚を組んで座りたくなるものです。しかし脚を組むと左右の骨盤の高さが変わってしまい、腰の一部分への負担が大きくなります。そして腰への偏った負担は、腰痛を起こす可能性が高くなります。
さらに、慢性的な腰痛を持っている人が足を組んで座ると、だんだんと腰が丸まる傾向があることが分かっています。この現象は腰痛をさらに悪化させる原因となります。
● 片足に重心を寄せて立つ
立ち姿勢でも腰痛の原因になることがあります。例えば知らないうちに左右どちらかに重心を寄せた立ち方をしていると、寄せた側の腰への負担が大きくなります。
腰痛のリスクは、悪い姿勢をとり続けることで高まります。特に以下の職業の方は積極的に腰痛対策を取り入れることをおすすめします。
● 医療や介護の仕事
腰を曲げて人の介助を行うケースも多く、身体を前に倒す姿勢は腰に大きな負担がかかります。
● デスクワーク中心の仕事
長時間同じ姿勢で座ってパソコン作業をすると腰痛の原因になります。
● 車の運転が多い仕事
車の運転もずっと同じ姿勢を取り続けるため、腰に負担がかかります。
腰痛対策に効果的なポイントは、人間本来の正しい姿勢を取ることです。理想的な立ち姿勢について解説します。
【理想的な立ち姿勢】
腰痛対策になる立ち姿勢は、まっすぐ立つことです。まっすぐ立つときのポイントは、あごとお腹を引っ込めることです。そして自分の立ち姿勢をチェックする方法として、壁に背中をつけて立つことをおすすめします。
【腰痛を防ぐ立ち姿勢のチェック方法】
● かかとと背中を壁につけて立つ
● あごを引いて、後頭部が壁につくようにする
● 両手は真横に下ろし、両肩はできるだけ壁に寄せる
● お腹を引っ込めて腰に手を通して、腰と壁の間に手のひらが入る程度にする
【理想的な歩行】
基本的には前述の「腰痛を防ぐ立ち姿勢」を保ちながら歩くことです。さらに歩行では以下のポイントに注意してください。
● 腕を前に振りすぎない
● 前に出す足は膝をしっかり伸ばし、踵からつける
● 蹴り出す脚は足の親指でしっかり蹴る
● 肩や腕ばかりに荷物を持たない
● いつもより少し早く歩く
パソコン作業や車の運転などで日々座る時間が長いという方は特に意識していただきたい理想的な座り姿勢について解説します。
四つん這いの姿勢は、両手は両肩の真下に、両膝は両股関節の真下に来るようにして、背中が丸まったり、反ったりしないように意識しましょう。多裂筋を鍛えることで、腰椎の安定性を高め、腰への負担を軽減することが期待できます。
椅子で座るときの腰痛対策のポイントは、「上半身の姿勢」と「座面の高さ」です。上半身の姿勢は立ち姿勢と同じく、あごを引いてお腹を引っ込め、骨盤(股関節)から垂直になるように身体を起こしてください。
次に座面の高さですが、以下の2点を意識して、座面の高さを変えることをおすすめします。
● 足の裏全体が床につく高さ
● 膝の角度が直角になる高さ
自宅などで床に座ってくつろぐ際の姿勢は腰に負担がかかりやすくなります。なぜなら床に座ると骨盤が後ろに倒れやすく、腰が丸くなってしまうからです。そこで床の座り方別に、腰痛予防のポイントを解説します。
● 正座
床に座る姿勢のうち、正座は床に対して骨盤から頭が垂直になりやすいため、腰への負担が少なくなります。しかし長時間の正座は脚にしびれを起こします。また膝を大きく曲げるため、膝を痛めている方は注意が必要です。
● あぐら
あぐらも比較的腰を伸ばしやすい座り方です、しかし長時間のあぐらは、骨盤が後ろに傾く可能性があります。そこであぐらで座る場合、座布団やクッションをお尻の下に挟むことをおすすめします。お尻が上に上がった分、骨盤が後ろに倒れにくくなります。
● 脚を伸ばして座る
脚を伸ばして床に座る姿勢は、骨盤が後ろに傾きやすくなります。そのため腰痛予防にはおすすめできない座り方です。それでも脚を伸ばして座るのが好きだという方は、座椅子やクッションなどを使って、骨盤が後ろに倒れない工夫をしましょう。
● 横に脚を流す
女性の場合、正座から両足を横に流して座る方がいます。この座り方は骨盤や腰が傾くため腰痛の原因になり、おすすめできません。もし長時間床に座る場合は正座に戻し、時には立って歩くなどして姿勢を変えることをおすすめします。
次に具体的な「座るシチュエーション」別に、腰痛対策を解説します。デスクワークではマウスやキーボードを触りながらモニターを見つめるため、肩と頭が前に出てしまう傾向があります。そこで以下のような工夫をすることがおすすめです。
● モニターの高さを正しい座り方の目線に合わせる
● モニターの位置を身体の正面にする
● 巻いたタオルやクッションを腰に当てる
スマホの操作もストレートネックや猫背を誘発し、腰痛の原因になっています。なぜならスマホは画面が小さく、手で持ちながら見るので、頭を下げてしまうからです。そこでスマホを操作するとき、以下のような工夫をしてみましょう。
● スマホスタンドなどを使って手で持たないようにする
● クッションや台を膝の上に置いて肘の位置を上げる
● 立ってスマホを見るときは、片方の手でスマホを持つ肘を支えてスタンドの代わりにする
車の運転は座る姿勢が長時間になるだけでなく、心身が緊張しているため悪い姿勢で身体が固まりがちです。そこでドライブでの姿勢を改善する方法として、以下のものをおすすめします。
● 椅子の高さ・前後の位置、そしてリクライニングを調整して深く座るようにする
● ハンドルを手で持ったとき、両肩や後頭部が背もたれから離れないようにする
● 首や腰にサポートクッションを付ける
● 車を降りたときは「正しい立ち姿勢」に戻すよう意識する
今回は腰痛予防に姿勢改善が有効であることと、姿勢改善のポイントについて解説しました。腰痛は急に起こることもありますが、腰に負担をかける習慣が、伏線になっていることが多いのです。だからこそ、日頃から姿勢を意識することで、腰痛対策に取り組まれてみてはいかがでしょうか。
シグマックス・MEDIAID事務局
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日本シグマックスの
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※MEDIAIDは日本シグマックスのブランドです。
※1:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2023年度メーカー出荷額ベース
※2:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2020~2023年度メーカー出荷枚数ベース