2024.09.18
膝の痛みの中でも、内側に痛みが出る方はいませんか?膝は痛みの出る部分によって、原因となる疾患が異なるため、症状に合わせた対処法が必要です。
今回は、膝の内側が痛くなる原因、膝の内側が痛い場合に考えられる疾患、予防のポイントを解説します。本記事を参考に、いつまでも健康な膝を目指しましょう。
2足歩行をする人間にとって、膝は多くの負担がかかる関節です。歩いている時は体重の2~4倍もの力が加わります。さらに、ストップやジャンプなどの動作を行うことで、急激な衝撃がかかります。
膝には、体重を支える役割と動く役割の両方が求められます。体重の何倍もの負荷を受けながら、歩いたり、しゃがんだりと動かす必要があるため、膝の負担を分散させる機能が備わっています。大きな衝撃によって膝が痛くなる場所が異なるのは、膝の構造や働きに関連しているからです。
膝関節は太ももの骨である「大腿骨(だいたいこつ)」、すねの骨である「脛骨(けいこつ)」、一般的に膝のお皿と呼ばれる「膝蓋骨(しつがいこつ)」から成り立ちます。
関節への負担を和らげるクッションの働きをする組織として、関節軟骨や半月板(はんげつばん)が大腿骨と脛骨の間にあります。また、膝の過剰な動きに対して、関節を安定させるために存在するのが、4つの靭帯です。関節の前後の動きを制御するのが前十字靱帯と後十字靱帯、左右の動きを制御するのが内側側副靱帯と外側側副靱帯です。
膝関節の主な働きは、屈伸運動です。膝関節の屈伸運動は、大腿骨の前面にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)や後面にあるハムストリングスの働きにより行われます。
膝の痛みの原因は、痛みが出る場所にあることが多いです。例えば、半月板は膝関節内の内側と外側に1つずつあります。膝の内側にある内側半月板が損傷すると、膝の内側に痛みとして症状が見られます。そのため、痛みの感じる場所から原因を推測することができます。
膝の内側の痛みは、加齢やスポーツ、O脚による負担が主な原因となることが多いです。膝の内側と外側の痛みには共通する要因もありますが、それぞれに特有の要因も存在します。スポーツ時のフォームで膝が内側に入りやすい人、太ももの内側の筋肉が硬い人は、膝の内側が痛みやすくなります。
膝の内側に痛みがある場合に考えられる疾患をそれぞれ解説します。
変形性膝関節症は関節軟骨の老化によって起こることが多く、関節軟骨の弾力性が失われてすり減ってしまい、関節が徐々に変形する疾患です。日本人はO脚が多く、変形により膝関節の内側が狭くなりやすいため、膝の内側に痛みが出ることが多いです。他にも、膝の動きが制限されたり、膝に水が溜まって腫れたりするなどの症状が現れることがあります。
治療法は、手術をしない保存療法と手術療法です。保存療法は痛みを軽減する内服薬や外用薬などの薬物療法、体重の減量や杖の使用などの生活習慣の指導の他、膝を保護する筋肉を鍛える運動を行います。関節の負担を減らす装具療法もあります。保存療法を行っても症状が改善せず、生活に支障をきたす場合は手術の検討が必要です。
変形性膝関節症について詳しく知りたい方は「『変形性膝関節症』とは?症状や原因、膝の痛みを予防するストレッチをご紹介」の記事をチェックしてください。
膝関節内にあるクッションの役割を持つ半月板が、損傷もしくは断裂してしまう疾患です。スポーツ時のジャンプや方向転換など、体重をかけながら膝をひねる動作で発生しやすく、サッカーやバスケットボールなどの競技で好発します。また、加齢により半月板が老化し、立ち上がる動作といった小さな力が繰り返しかかることでも生じることがあります。
半月板損傷は膝の靭帯損傷を合併する場合も多く、変形性膝関節症に進行する原因の1つです。軽症であれば装具やテーピングで膝を補強したり、投薬やリハビリによる治療をしたりします。膝が動かなくなってしまうロッキングといった状態や痛みが持続する場合は手術を行うこともあります。
鵞足炎は、膝の内側に付く3つの筋肉の炎症です。3つの筋肉は半腱様筋(はんけんようきん)、薄筋(はっきん)、縫工筋(ほうこうきん)と呼ばれます。3つの筋肉が合わさって腱となり、膝関節の5cmほど下の脛骨内側に付きます。鵞鳥(がちょう)の足に似ていることから鵞足と言われています。
鵞足炎は、ランニングやジャンプによる繰り返しのストレス、柔軟性の低下、不良姿勢、肥満、加齢による負荷増大などが原因で発生します。膝の内側や後ろに痛みや腫れを伴います。
発症初期は運動開始直後に違和感がありますが、運動を続けていくうちに症状が和らぎ、さらに運動を繰り返すと再び違和感が出るのが特徴です。症状が悪化すると、運動を続けると少しずつ痛みが増し、運動が継続できなくなります。
鵞足炎の主な治療は、ランニングなど負担のかかる運動を中止して安静に過ごします。鵞足炎の発症直後は、アイシングで炎症の悪化を抑えます。炎症が緩和してくると、半腱様筋や薄筋などのストレッチなどを行い、鵞足にかかる負担を減らします。
疼痛や炎症を緩和させるため外用薬や内服薬を使用したり、超音波などの物理療法をしたりする場合もあります。これらの治療法でも痛みが緩和しない場合は、ヒアルロン酸やステロイドの注射をすることもあります。
今の膝の状態を知りたい方は、「膝の痛みの原因は?」の記事にある膝のセルフチェックを試してみてください。
疾患別に膝の痛みの予防方法をご紹介します。日常生活での予防法と自宅でできるストレッチです。症状が気になる方は参考にしましょう。
日常生活での予防法
体重が増加すると膝にかかる負担も増えます。そのため体重の増加を防ぎ、必要に応じて減量しましょう。また、階段の上り下りや低い椅子からの立ち上がりなどが必要な環境は、膝への負担が大きくなります。段差がある場所は手すりを設置する、椅子の高さを上げるなど、日頃から膝に優しい環境を整えましょう。
膝裏の硬さを緩和するストレッチ
膝関節が曲がったままにならないように、ストレッチで膝裏の柔軟性を保ち膝がしっかり伸びるようにすることが大切です。膝をしっかり伸ばすことで膝の前にある筋肉が鍛えられ、膝の負担軽減につながります。
1. 両膝を伸ばして座る
2. 膝裏を床に押し付けるように力を入れながら、つま先を伸ばして5秒キープする
3. 膝裏を床に押し付けるように力を入れながら、つま先を手前にそらして5秒キープする
ストレッチする場合は息を止めないように注意して、膝に痛みの出ない範囲で1日10回から始めましょう。
日常生活での予防法
半月板損傷を予防するためには、膝関節にかかる負担を減らす必要があります。日頃からストレッチをして柔軟性を保ち、膝周辺の筋肉を鍛えましょう。また、スポーツをする方は膝が内側に入るフォームは避けましょう。
太もも裏のストレッチ ①
膝周辺にある筋肉の柔軟性が低下すると、膝関節の動きが悪くなり、動作時に膝への負担が増えます。太もも裏にあるハムストリングスのストレッチをご紹介します。
1. あおむけに寝て、左足を上げる
2. 左足のふくらはぎを両手で持つ
3. 足を天井の方向に高く上げ、できるだけ膝を伸ばす
4. 15秒〜30秒キープする。右足も同様に行う。2~3回繰り返す
ストレッチは筋肉が伸ばされるのを感じるところでキープします。痛みが出ないようゆっくりと行いましょう。
日常生活での予防法
スポーツやランニングなどをする時は、過剰な負担がかからないように注意しましょう。ランニングでは不適切なシューズを使用することでけがのリスクが高まるため、専用のシューズで走ることも大切です。
太もも裏のストレッチ ②
太もも裏の内側にある半腱様筋や半膜様筋を内側ハムストリングスと呼びます。内側ハムストリングスを伸ばすことで、膝の内側にかかる負担を減らします。
1. 両膝を伸ばして、床に座る
2. 両手で足の裏を持つ
3. 胸を太ももに押し付けるように、体をゆっくり倒す
4. 太ももの裏側が伸びているところで15秒〜30秒キープ。2~3回繰り返す
太もも裏(特に内側)が伸ばされるのを感じたところでキープするのがポイントです。
膝の内側の痛みは、変形性膝関節症や半月板損傷、鵞足炎といった膝の内側に負担がかかって生じる疾患が原因となることが多いです。日頃から膝への負担を考慮した生活の工夫や膝周辺の柔軟性を高めるストレッチなどを継続して行い、膝の内側にかかる負担を減らしましょう。
膝に負担がかかる作業する時はサポーターを使用して、少しでも負担を減らすことも大切です。それでも膝の内側の痛みが緩和されない時は、整形外科などの医療機関を受診しましょう。
日常使いからスポーツ時まで幅広く使用可能です。
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シグマックス・MEDIAID事務局
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MEDIAID(メディエイド)は整形外科で
確かな実績を持つ
日本シグマックスの
サポーター専業ブランドです。
※MEDIAIDは日本シグマックスのブランドです。
※1:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2023年度メーカー出荷額ベース
※2:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2020~2023年度メーカー出荷枚数ベース