2024.01.30
「膝が痛くてつらい…」「なぜ膝が痛くなるの?」。このような悩みや疑問のある方はいませんか。膝には体重の何倍もの負荷がかかると言われており、さまざまな原因によって痛みを引き起こしやすい部位です。
今回は、膝が痛い時に考えられる原因や膝の痛みを予防するために自宅でできるストレッチをご紹介します。膝の痛みが気になる方はもちろん、膝の状態をいつまでも健康に保ちたいと思っている方もぜひ参考にしてください。
膝にある関節いわゆる膝関節(ひざかんせつ)は、太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)とすねの骨である脛骨(けいこつ)、膝のお皿と呼ばれている膝蓋骨(しつがいこつ)で構成されています。関節周辺にはさまざまな組織が存在して、過度な負担や衝撃によりダメージを受けると痛みを引き起こします。
膝の痛みを理解しやすくするために膝関節の仕組みを解説します。膝関節は曲げ伸ばしが可能で、立ったり歩いたりといった複雑な動作を行います。膝関節が曲げ伸ばしをする時に働くのが以下の筋肉です。
膝の運動 | 主に働く筋肉 |
---|---|
膝を伸ばす | 大腿直筋(だいたいちょっきん)、内側広筋(ないそくこうきん)、外側広筋(がいそくこうきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん) |
膝を曲げる | 大腿二頭筋(だいたいにとうきん)、半腱様筋(はんけんようきん)、半膜様筋(はんまくようきん) |
膝を伸ばす4つの筋肉は「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」、膝を曲げる3つの筋肉は「ハムストリングス」と呼ばれます。
また、膝関節を安定させて無理に動きすぎないようにするための組織として以下の4つの靭帯があります。
靭帯は骨と骨をつないでおり、4つの靭帯が膝のねじれや前後左右へのずれに対するストッパーとして働きます。
その他にも、膝関節には関節にかかる衝撃を吸収する組織として半月板(はんげつばん)があります。半月板は関節の内側と外側に2つあり、関節を安定させたり、軟骨を保護したりするのが役割です。
膝関節には関節を動かしたり、安定させたりするための組織が多く存在します。これらの組織がなんらかの原因でダメージを受けてしまうと「膝の痛み」として症状が現れます。
膝が痛くなる原因の1つに変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)があります。加齢や肥満などで膝の関節にある軟骨の弾力が低下します。軟骨は関節の表面を覆い、関節を保護したり、衝撃を吸収したりするのが役割です。
膝に繰り返しかかる負荷によって弾力の低下した軟骨がすり減ってしまい、膝の関節への負荷が増えることで膝の痛みを引き起こします。変形性膝関節症の症状は痛みだけでなく、膝の変形や曲げ伸ばしの制限などがあります。
今のあなたの膝の健康状態をチェックしましょう。
チェック結果
これらの症状がある場合や、これら以外にも気になる症状が続いたり繰り返したりする場合には、早めに整形外科を受診して診断を受けましょう。
変形性膝関節症以外にも膝の痛みを引き起こす原因があります。それぞれの特徴に当てはまる場合は、できるだけ早く整形外科などの医療機関を受診しましょう。
半月板は膝関節にかかる衝撃をやわらげるクッションの役割を持っています。ジャンプや方向転換など体重をかけた状態で膝をひねったり、キックで膝を急激に伸ばしたりすることで起こります。
膝の痛みに加えて、膝の曲げ伸ばしをした時にひっかかりを感じるのが半月板損傷の特徴です。重度になると膝関節が急に動かなくなるロッキングと呼ばれる症状がみられます。
スポーツなどでランニングやジャンプを長時間行っていると膝の痛みが生じる場合があります。これは靭帯や筋肉が骨に付くところに負担がかかり、炎症を引き起こすことが原因です。
下記のような症例があります。
上記の症例では痛みの他に、炎症が生じている部分を押すと痛みが出たり(圧痛)、腫れ、熱感がみられます。
靭帯を損傷すると膝の痛みが生じます。損傷の原因としては急なストップや膝を過剰にひねる動作、膝関節の可動範囲を超えた動きを強制された場合があげられます。また、交通事故やコンタクトスポーツ(ラグビーや柔道など接触のある競技)でのタックルなどの衝撃も靭帯を損傷させる原因となる場合があります。
膝の靭帯損傷の症状は、膝の痛みや腫れとともに膝に力が入りにくかったり、急に力が抜けたりといった不安定感がみられます。
成長期のスポーツ選手に多く、膝のお皿の少し下の部分が腫れて、痛みを伴うけがです。スポーツでジャンプをしたり、ボールを蹴ったりするなどの動作で痛みが現れ、運動をやめると痛みもおさまります。
膝を伸ばす筋肉である大腿四頭筋(だいたいしとうきん)は膝のお皿やその下の靭帯を介してすねの骨(脛骨粗面:けいこつそめん)につきます。オスグット病は大腿四頭筋が付く脛骨粗面の付く部分の軟骨が剥がれるのが原因です。
成長期の軟骨が成長する時期に、膝を繰り返し伸ばして大腿四頭筋に力が入ることで軟骨の剥離を引き起こします。
膝の痛みは日常生活で膝にかかる負担を減らすことで予防が可能です。ここでは膝の痛みの原因となる変形性膝関節症や半月板損傷、スポーツによる膝の慢性障害、膝の靭帯損傷、オスグッド病に対してできる生活上の注意点をご紹介します。
まずは変形性膝関節症や半月板損傷における日常生活での注意点、予防につながるストレッチをご紹介します。どちらの疾患も膝にかかる負担を減らすことで予防につながるので日頃から実施しましょう。
膝を温める
クーラーや扇風機の風に直接当たると膝にある組織の血流が悪くなり、痛みを引き起こします。できるだけ膝を温めて、血流を促すようにしましょう。
体重が増加した場合は減量する
歩行や立ち上がりをすると膝関節に体重の何倍もの負担がかかります。そのため体重が増加してしまうと、その分、膝関節への負担が増えます。体重が増加した場合はできるだけ減量し、膝への負担を減らしましょう。
正座をしない
関節の変形により動きが制限されやすい変形性膝関節症や半月板損傷では、正座のように膝を深く曲げる動作が膝の負担につながります。和式の生活スタイルより、イスを使う洋式の生活スタイルの方が膝への負担は少ないです。
変形性膝関節症や半月板損傷の予防におすすめのストレッチ
膝まわりにある筋肉の柔軟性が低下すると、膝関節の動きが悪くなり、動作時に膝への負担が増えます。そこで太ももの裏側にあるハムストリングスのストレッチを行いましょう。
両手でふくらはぎを持つのがつらい場合は、タオルを足の裏に引っ掛けます。引っ掛けたタオルの両端を持ち、手前に引っ張りましょう。
スポーツによる膝の慢性障害、膝の靭帯損傷、オスグッド病の予防に関する注意点やストレッチの方法をご紹介します。どの疾患もスポーツ動作が原因となるため、練習環境の調整や運動前後のストレッチが大切です。
練習環境を整える
スポーツによる膝の障害が起こる原因として、不適切な練習方法や練習環境があります。例えば、オーバーワークや選手の体力やレベルに合っていない練習は、膝へ過度の負担をかけます。
また、不適切な靴の使用、固すぎたり柔らかすぎたりする地面での運動も膝に負担がかかり、障害を招く要因となります。競技レベルや個人の体力にあった適度な運動や体に負担の少ない環境の調整が大切です。
体を動かす前後のストレッチを実施する
運動前後のストレッチはけがの予防に大切です。運動前にストレッチをすることで柔軟性を高め、けがの予防につながります。
また、運動後のストレッチは、縮んだ筋肉を元の長さに戻して、血流を促します。そうすることで疲労回復やリラックスといった効果が期待できます。疲労の蓄積によるけがを防止するためにクールダウンとしてストレッチをしましょう。
スポーツによる膝の慢性障害におすすめのストレッチ
スポーツによる膝の障害におすすめなのが大腿四頭筋のストレッチです。
※膝が浮いた場合は元に戻してから再度ストレッチを行いましょう。
日頃から膝の痛みを予防するストレッチを取り入れることで、正常な関節の動きを保つことができます。日常生活にストレッチを取り入れて、健康な膝を維持しましょう。
膝の痛みの原因は変形性膝関節症やスポーツによる障害などさまざまです。加齢により生じるものもあれば、オスグッド病のように成長期特有の場合もあります。膝の痛みを放置すると、症状の悪化はもちろんのこと、病気やけがの進行を引き起こします。痛みを感じたらできるだけ早く整形外科などの医療機関を受診することが大切です。
膝の痛みを予防するためには、膝への負担を配慮した生活の工夫を行ったり、太ももの筋肉を伸ばすストレッチをしたりしましょう。一度にまとめて行わず、負担のないストレッチから始めると継続しやすいです。
また、膝に負担のかかる仕事や作業をするときは、サポーターを使用して膝への負担を軽減したり、ストレッチと併用したりして、膝の痛みを予防しましょう。
膝に負担のかかる立ち仕事や家事など日常使いにおすすめ。
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シグマックス・MEDIAID事務局
シグマックス社員が仕事の中で得た知識から、知っておくと嬉しい・役立つ情報を、生活者の視点から発信しています。
MEDIAID(メディエイド)は整形外科で
確かな実績を持つ
日本シグマックスの
サポーター専業ブランドです。
※MEDIAIDは日本シグマックスのブランドです。
※1:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2023年度メーカー出荷額ベース
※2:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2020~2023年度メーカー出荷枚数ベース